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遺言があっても安心できない! ~相続不動産は誰の手に?~

  • 遺言の作成は必須ですが

企業の永続経営のために、オーナーの個人財産を誰に継がせるかを指定しておく遺言は必須です。

しかし、令和元年に施行された民法改正により遺言の効力が弱まり、「早い者勝ち」に変わったのです。

特に、会社の敷地など会社に関係するオーナーの不動産については十分な知識と対策がなければ、

かなり面倒なことが起こる可能性があります。

 

  • 絶対的効果から早い者勝ちに

民法改正前は、遺言書があればもし次男が自分の持ち分を売ってしまったとしても長男(後継者)は

それを買主から取り戻すことができたので、遺言には「絶対的効果」がありました。しかし民法改正後は、

第三者である買主が自分の名義とする登記を行ってしまうと長男は取り戻すことができなくなりました。

つまり「早い者勝ち」の状態になっているのです。この改正により、不動産業者は安心して持ち分の買い取りができるようになりました。

 

  • 対策はどうしたら

まず遺言を公正証書遺言にし、相続が発生したら速やかに相続登記の申請を行うことが考えられますが、

さらに有効なのは、家族信託を活用して相続発生「」に不動産の名義を後継者へ変更しておくことです。

家族信託は名義だけを変える契約ですので贈与税はかかりませんし、次の後継者を指定して登記に記載する

こともできます。遺言はいつでも書き換えられる点がデメリットとなり、後継者にとって最終的に自身が

継げるかどうかの不安は残りますが、家族信託は簡単に変更できないので遺言よりも遥かに安心です。

当社においても、クライアント様 5社ほどに家族信託をご紹介しております。

 

  • 最後に質問です。自社株の準共有とは?です。

質問:父が全株式の60%を所有。後継者である長男が31%(A)、会社の経営に関係ない姉5%(B)・

次男4%(C)を所有しています。父に相続が発生し遺言も家族信託もしていない場合、

自社株の所有割合(相続)はどうなるでしょうか?母は既にお亡くなりになっているものとします。

 

答え:父の60%を相続人(A)・(B)・(C)の3名で分けることとなるので、(A)20%・(B)20%・(C)20%となり、後継者である(A)が所有割合51%となりますので長男(A)の経営権は確保されたように思われますが、

答えはです。本当の正解はどうなるでしょうか?もしかすると後継者である(A)は取締役を

解任されてしまうかもしれません。相続クーデターとなります。

 

応援しています。

 

令和5年11月吉日

有限会社エフピーマネジメント 代表取締役 大友 一夫

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