今月は、皆様が法人でお持ちの「現金・預金」を戦略的に考えて、残高を調整しているかどうかを書いてみたいと思います。
まず、第一に月末の残高が対前年度同月末・対前月末に比べて増加しているかどうかを毎月チェックして把握しているかどうかです。
第二はその預金を置いている銀行対策です。借入している銀行、借入していない銀行とのバランスは考えていらっしゃるでしょうか?また、その借入している銀行へ定期預金又は定期積金している場合は、その残高は除いて考えていらっしゃるでしょうか。
以前に訪問したことのある法人は、借入している銀行へ5億円の定期預金をしていました。
その法人の全ての預金合計は8億円でしたので、流動性(使える)預金は3億円しかありませんでした。そして定期預金5億円を置いていた銀行からの借入金残高は6億円ありました。
この法人の社長は財務に関心が薄く、売上の方を気にしており、銀行対策は経理担当の取締役の女性一人に任せっきりでした。その取締役の口癖は「金が足りない、金が足りない」です。そしてこの企業は年商約20億円の企業です。もう皆さんお分かりだと思いますが、この定期預金5億円は、借入金残高がある限り解約は銀行が許しません。別に担保ではないのですが・・・・・。これが現実です。
銀行対策の戦略がないと、この様な事がおきます。
では、第三ですが、どの位の現預金があれば良いのかどうかという目安をお話しします。※定期預金・積金は除く。
①最低:月商(年商÷12ヶ月)の1ヶ月分 ⇒ これだと未回収など何かあればすぐ自転車操業に陥ってしまいます。
②銀行はどう考えるか:月商×2ヶ月分 ⇒ ちょっと安心ですね。
③理想:月商×3ヶ月分 ⇒ 毎晩安眠できますね。
④有事の時:月商×5~6ヶ月分 ⇒ 売上が一時半分になったとしても1年間は持ちますね。
この現預金は貸借対照表上の残高だけではなく、すぐ社長の判断一つで現預金に替える事が出来る資産を含めて考えても良いのですが、それは有事の場合です。まずは理想③を目指しましょう。
もう既に③の理想を保有する法人様は、その残高をぜひとも維持していく事を経営の目標の一つとして下さい。
来月は、インフレの恐ろしさについてお話させていただきます。また、現預金の増やし方を知りたい方はご連絡をお待ちしております。応援しています。