今回は、前回からお伝えしている銀行融資の五原則のうち、(2)公共性の原則と(3)成長性の原則についてお伝えいしたいと思います。
(2)公共性の原則
公共性の原則とは、銀行は利益ばかりを追求するのではなく、公共的役割を認識して融資に取り組むことが求められる原則を言います。
具体的には、銀行は多数の個人や企業から預金を集めます。その集めた預金の6~7割程度を融資に使っています。大多数から集めた預金を、さらに多数の第三者に融資するわけですから、銀行は不良債権を発生させることは許されないのです。
銀行は『晴れの日に傘を貸し、雨の日に取り上げる』という言葉を耳にします。しかし、銀行は決して貸し渋りや貸しはがしを行っているわけではありません。
二律背反になってしまうかもしれませんが、銀行は預金者の預金を融資金に活用している以上は、貸し倒れは防がなければなりません。
なぜなら、仮に銀行が恒常的に不良債権を発生させていくと、銀行経営も赤字経営となり、銀行が破綻するような事があれば預金者に迷惑(ペイオフ)をかける可能性があるからです。
このように銀行は、社会的および公共性のことを考えて行動しなければなりません。
しかし、どこか最近この公共性の原則が薄れてきているように思います。
(3)成長性の原則
成長性の原則のポイントは以下の6つになります。
① 企業の属する外部環境
② 業界内の競争力
③ 経営者の能力
④ 技術力・保有設備状況
⑤ 販売先と仕入先の内容
⑥ 資本系列 など
この6つのポイントは、定性情報とも言えます。つまり、銀行の取引先担当者は、定期的に企業の訪問を自ら心がけ、企業の定量情報と言われている決算書の数字の根拠となる情報など、その企業の予兆をつかみ、指導や育成をしていくということです。
この定性情報をつかむことを『目利きのかんよう』と言います。しかしながら、現代の銀行は、支店の統廃合などを始め、限られた外回りの行員が取引先を数多く持っているので、定期訪問する文化は非常に少なくなっているような気がします。成長性の原則は、当然 銀行員も理解していますが、理想と現場のギャップに挟まれている状況です。この成長性とは、銀行が取引先と預金業務や融資業務を通して、長い間お付き合いをしていく中で取引先の成長に関与しなさいということです。しかし、最近目にするのは担当者のノルマ達成のため、投資信託・保険の販売に力を入れていることが多く残念でなりません。
応援しています。
令和5年2月吉日
有限会社エフピーマネジメント 代表取締役 大友一夫