利益が出ているからと、貸借対照表を精査せずに自社で不動産を購入して大失敗をする社長様が
後を絶ちません。
当社の顧客で純資産25億円以上、自己資金30億円の法人様がいらっしゃいますが、その法人様の自社
ビルは建物等を法人で購入、土地は賃借して家賃を払っております。何故そのようにするのかは、後ほど
述べさせていただきます。
中小企業の社長様の多くの考え方には、「家賃を払い続けるより、購入のための借入金を返済すれば、やがて自分のものになるから良い」という勘違いが潜んでいます。
ここでは、なぜこの勘違いが生まれるのか、そしてどう考えればよいのかを見ていきましょう。
ある法人様の貸借対照表・損益計算書を見せてもらうと、本社の土地・建物の他に、社長様が個人的に
付き合いのある地主様から、頼まれるままに駐車場などを購入していたしました。
その社長様は「家賃等で支払っている金額と同じぐらいの借入金の返済額にすれば、出金する金額は同じだから資金繰りに問題はないだろう」と考え、顧問税理士にも相談し購入していたのです。
さて、皆さまはこの考え方をどう思いますか?
結論を申し上げますと、この考え方は完全に勘違いです。
まず、家賃の経理処理は法人の損金となり、法人税等の対象になりません。ということは、約35%の
法人税等を節税できることになります。一方、借入金の返済は一切 法人の損金とはなりません。
ということは、利益から法人税等を差し引いた残りの金額から返済することとなります。
この差は1・2年ではたいした差とは思わないのですが、10年・20年となってくると大変な額になります。
この購入した土地・建物から、売上高・利益にプラスを生んでいたらまだ良いですが、マイナスとなった場合はどうでしょうか?
あれほど隆盛を誇っていたダイエーを見ていただければわかると思います。
ダイエーは店舗の敷地を自社で購入。イオンは賃借しています。ということは、撤退もしやすいのはイオンということになります。
なので、もうすでに購入しているものは仕方ないとして、今後 新規に店舗を建てる、新しい工場を建てる場合は、できるだけ借地とし賃借料を払ったほうが、リスクが少なくなるのではと私は考えております。
最後にまとめると、土地・建物を購入する場合、土地については自己資金、建物等は借入金とするように
考えていただければと思います。
ただし、これは「社長様の価値観」によることは申し添えておきます。
応援しています。
令和6年11月吉日
有限会社エフピーマネジメント 代表取締役 大友 一夫