今月は、オーナー経営者(自社株を持っている)の方に相続が起きた場合に、オーナー・その後継者・顧問税理士の方々が大変な勘違いをされていることについて改めて書いてみたいと思います。また、2点目として「取引相場の無い株式の評価に関する有識者会議(第1回)」の件についても書いていきたいと思います。
まず、自社株を持っているオーナー経営者に万が一相続が発生した場合、多くの皆様はその自社株の評価は相続税の対象となる「相続税評価額」になると思われていると思います。それは一部正しく、一部正しくないのです。何のこっちゃと思われかると思いますが、あくまで相続税の計算をするために使うのが相続税評価額なのです。え、それ以外に何があるの?と思いますよね。遺産分割協議をする場合、その協議する際の評価は相続税評価額ではなく、実は「時価」なのです。ここが一番の落とし穴になります。
例えば、「相続税評価額は2億円ですが、時価は8億円」等はざらにある話なのです。なんでそんなに違うのと疑問に思われると思います。それは相続税評価額はあくまで相続税法であり、遺産分割協議は「民法」に
則っているからです。この民法による財産評価は「時価」ということになります。なので、特にオーナー経営者の方は税法に強いだけでなく、民法、そして会社法にも詳しいアドバイザーを持つことを強くお勧めいたします。
続いて、2点目の「取引相場の無い株式の評価に関する有識者会議(第1回)」の件ですが、令和8年4月20日にこちらの会議が開催され、私はその会議の資料全文を手元に持っております。
その資料には会議の方向性が示されており、これから非常に厳しくなるなと思う内容となっています。
具体的には次の通りとなります。
- 異なる規模区分の評価会社の株式評価の公平性を確保(大会社が有利)
- 評価額操作の誘因となる各評価方式間の乖離を排除(類似業種評価の問題)
- 継続企業の前提、個々の企業の収益力等を反映(優良法人であれば評価UP)
- 企業評価に関する学術研究の進展、税務以外における企業評価の手法等(DCF法等か?)
- M&Aによる第三者への事業承継の増加と、その際の企業価値評価を踏まえた検討(DCF法等か?)
- 継続企業を前提に、純資産価額方式における引当金の取り扱いも含め、実務上の取り扱い(純資産価額?)
- 配当・利益等の操作、株価を圧縮するスキームを排除し、株価の中立性を確保(純資産価額?)
- 特例的評価のスキームを排除(少数株主の配当還元価額の見直し)
以上のような第1回有識者会議でした。
オーナー経営者にとって、非常に厳しい評価方法になると思います。
しかし、何とかなります。諦めず、精一杯頑張っていきましょう。
令和8年5月吉日
有限会社エフピーマネジメント 代表取締役 大友 一夫

