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相続された譲渡制限株式はどうなるのか! ~譲渡制限されていても相続等の場合は例外~

 

一般的に、非上場株式は同族関係者で所有されていると思いますが、中には相続税対策として社員等に

分散されている同族会社さんも結構な確率でお見かけします。将来のリスクも検討してなら良いのですが、

ただ相続税を下げるためやオーナーの持株比率を下げておくためなどの安易な考えで実行していらっしゃるオーナーをお見かけしております。

そのため、第三者(社員等)に持ってもらった株式に相続が起きた場合のことをオーナーにお伺いすると、

だいたいの方は「当社は譲渡制限が付いているから株は相続人に渡らない」とおっしゃいます。

しかしながら、相続時には譲渡制限が付いていようがいまいが自動的に相続人に相続されてしまいますと言うと、ほとんどの方が「え~~!」とびっくりされます。

顧問税理士等からはまったく聞いたことがなかったようです。

 

では、その相続人に自動的に渡ってしまった株式はどのように対応すれば良いのでしょうか?

まず、会社は相続その他一般承継により株式を取得した者に対し、その株式を会社に売り渡すことを請求することができる旨を、定款に定めることが可能です。

請求の際は、株主総会の特別決議により売り渡し請求をする株式の数・対象となる者の氏名または名称を決議します。この請求をすると相続人等は拒むことができず、株主総会で議決権を行使することができません。

ただし、相続等があったことを知った日から「1年以内」に請求を行うことが要件となります。

売買価格は協議によることを原則としますが、双方とも「20日以内」であれば裁判所に対し売買価格の決定の申し立てをすることができます(非常に高額になるリスク有り)。

裁判所への申し立てもなく協議が調わなかった場合には、売渡請求はその効力を失いますので、強制取得を

実現したい会社は裁判所への申し立てを行うことが肝要です。

 

以上、今月は自社株が分散しているリスクのほんの一例をお伝えしました。

御社は大丈夫でもお知り合いの社長様の会社がこのような状態にあれば、ぜひ教えて差し上げてください。

来月は相続人が3名いれば起こり得る相続クーデターのお話をお伝えしたいと思います。

 

応援しています。

 

令和6年9月吉日

有限会社エフピーマネジメント 代表取締役 大友 一夫

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