今回は、先月 私の身内に相続が起きたため、改めて相続トラブルのリスクについて考えてみました。
経営者の方に万一が起きた場合、2つの顔がありますよね。1つは家族内での相続、もう1つは会社の
経営者としての相続問題です。
まず、家族内の問題は、銀行預金の凍結です。銀行は預金の名義人が亡くなると、その口座を速やかに
凍結し、預金の引き出しなどをできなくします。相続人の誰かが自由に引き出せてしまうと相続
トラブルの種になってしまうため、銀行としてはトラブルに巻き込まれることを防ぐ目的で、遺言があるか、なければ遺産分割協議が決着するまでは一切の取引を停止します。口座が一度凍結されれば、たとえ通帳や
キャッシュカードが手元にあり暗証番号が分かっていたとしても、凍結解除の手続きをしなければ、口座から現金を下ろすことは原則できません。例外として仮払い制度ができましたが、上限わずか150万円までを、他の相続人の同意を得ずに引き出せるに過ぎません。預金口座が凍結されている間、遺族には様々なリスクが生じます。例えば税金や公共料金、クレジットカードの支払いなどを被相続人の口座からの引き落としに設定していると、それらの支払いもすべてストップされ、当然翌月以降も未納の状態となってしまいます。
相続発生後のバタバタでこれらの変更手続きを忘れていると、気付いたときには未納が数カ月分に
なってしまう可能性があります。
さらに、預金口座が凍結されると引き出しだけではなく、振り込みもできなくなります。例えば賃貸アパートを保有し、その家賃の振込先を被相続人の個人口座にしているケースでは、その口座が凍結されると家賃収入がその間 途絶えることになってしまいます。これら当座の手元資金不足の対応に追われてしまうと、
相続にまつわる他の手続きに手が回らなくなってしまうということもあり得ます。
それでは、そもそも銀行が預金口座を凍結するタイミングはいつでしょうか?それは、相続の発生を銀行が知った時です。では銀行がどうやって相続の発生を知るかというと、最も多いのは「相続人自身による連絡」がほとんどだそうです。相続手続きのために銀行を訪れた際に銀行は相続の発生を知り、口座を凍結します。
さらに、地元の名士である中小企業等の経営者の相続の場合は、関係者の間で周知の事実となります。得意先での世間話などでそういった話はなんとなく伝わっていくものです。
こういった事から、重要なのは当座の生活費や事業用資金に困らないよう口座を分けるなどの事前対策を
しつつ、「生命保険金は受取人固有の財産」である制度を使い、遺族が保険金をすぐ受け取れるよう対策しておくことは必須ですね。この受取人固有の財産である生命保険金は、遺産分割協議を経る必要はなく、
直接受取人が保険会社へ請求できますので、非常にスムーズに当座資金を準備することができます。
また、そもそも遺言書があれば遺産分割協議をしなくてもよいので、遺言書は必須になると思います。
経営者であれば尚更、一行遺言でも良いので書いてください。
この一行遺言を知りたい方は、是非ご連絡くださいませ。
応援しています。
良いお年をお迎え下さいませ。本年も一年間ありがとうございました。
令和6年12月吉日
有限会社エフピーマネジメント 代表取締役 大友 一夫