令和6年11月、会計検査院より国税庁に対して取引相場のない株式についての意見書が表明されました。
今月はその内容について詳しくお伝えしたいと思います。結論は最後に述べるとして、まずは検査の状況・
所見について書いていきたいと思います。
まず検査の状況は、令和2・3年分の相続税及び贈与税の申告の内、取得した財産に取引相場のない株式がある申告の中から無作為抽出した計1,600件の申告を対象として検査されました。
- 原則的評価方式による評価の状況については次の通りとなります。
類似業種比準価額の中央値は、純資産価額の中央値である27.2%となっており、類似業種比準価額は
純資産価額に比べて73%程度低い水準となっています。
■計算式に類似業種比準価額が用いられている類似業種比準方式及び併用方式による各評価額は、純資産価額
方式による評価額に比べて相当程度低く算定された各評価方式の間で1株当たりの評価額に乖離が生じて
いる状況です。
■純資産価額に対する申告評価の割合の分布状況を見ると、その中央値は大会社0.32倍、中会社0.5倍、
小会社0.61倍となっており、評価会社の規模が大きい区分ほど株式の評価額が相対的に低く算定される傾向である。
評価通達の計算式が評価会社の業績等の実態を踏まえて株式を評価する方法として適切に機能していない恐れがあることなどが要因となっていると思料する。
■このような状況は異なる規模区分の評価会社と、発行した取引相場のない株式を取得した者との間で、株式の
評価の公平性が必ずしも確保されているとは言えないと思料する。
② 特例的評価方式(配当還元方式)による評価の状況について
■配当還元方式の還元率(10%)は、評価通達制定当時(昭和39年)の金利等を参考にするなどして設定。
その後、還元率は金利の水準が長期的に低下する中で見直されていない。例えば還元率を10%から2%に
引き下げられた場合の評価額は現状の5倍となります。
③ 所見
国税庁において、相続により取得した財産のうち取引相場のない株式の評価について、異なる規模区分の
評価会社が発行した取引相場のない株式を取得した者間での株式の評価の公平性や社会経済の変化を
考慮するなどして、評価制度の在り方について様々な視点から、より適切なものとなるよう検討を行っていく
ことが肝要。
以上のことから、近い年度での取引相場のない株式の評価制度は純資産価額の評価に限りなく近づいていくものと考えられます。
令和8年3月吉日
有限会社エフピーマネジメント 代表取締役 大友 一夫

