それでは今月も、先月に引き続き銀行融資の五原則のうち、
最後の(4)収益性の原則と(5)流動性の原則についてお伝えして参ります。
(4)収益性の原則
収益性の原則とは、金融機関の事業活動には公益性がございますが、反面 自身の経営を維持するためには適正な利益を追求しなければならないという原則です。
融資先の収益性を指しているわけではなく、あくまでも銀行の収益性の話しです。
営利を追求している皆様の会社と同様に、銀行経営も利益を上げて万全な体制を築かなければなりません。
この収益性を判断する上で、銀行は以下の①~③のことを考えながら収益を上げるようにしております。
➀ 融資金利
② 取引メリット
③ 融資効率
➀ 融資金利
常に安い金利で融資を行えば、一般企業で言うところの「薄利多売」と同じです。融資先の企業状況や
担保状況、連帯保証人の取引状況等を総合的に判断し融資金利を設定することで収益が上がります。
② 取引メリット
融資先の預金状況や売掛金の回収状況、総合振込や給料振込、個人取引の状況等を言います。
この取引メリットのことを「法人メイン化」や「個人メイン化」と称して、取引を集中させています。
③ 融資効率
「短期融資」と「長期融資」の貸出比率のことを言います。これは、どちらかに偏りすぎていないかを
判断するためです。
(5)流動性の原則
流動性の原則とは、短期で調達したものは短期融資で運用し長期で調達したものは長期融資で運用する
といった、「調達」と「運用」のバランスを重視する原則です。
9月末や3月末の、銀行の支店として数字が欲しい時期になると、この流動性の原則を無視した融資が
行われやすくなります。この場合には、取引先が本来は短期融資で利用したいと考えている融資を、銀行の
安定した融資残高の確保のために長期融資を依頼するケースが該当します。
これは、「銀行の」・「銀行による」・「銀行のため」の長期融資となっていることが多いのです。
以上、3ヶ月に渡り銀行融資の五原則についてお伝えして参りました。この五原則はすべて大切ですが、
特に「公共性の原則」と「安全性の原則」という2つの原則を土台に銀行は運営され、利益を出し続けることを要求されている機関といっても過言ではありません。
銀行がこの融資の五原則によって取引の判断をしていることを忘れず、御社が銀行と良い関係を築き、
益々繫栄していくことを祈念いたします。
応援しています。
令和5年3月吉日
有限会社エフピーマネジメント 代表取締役 大友 一夫