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大企業と中小オーナー企業の本質の違いを心得る

京セラ名誉会長の稲盛和夫さんは、経営の大原則として「売上を最大にし、経費を最小にする」とおっしゃっています。儲けというのは、売り上げから経費を差し引いた残りです。

それならば、売上を最大にし、逆に経費を最小にすれば、結果として儲けも増えていくという考え方です。この言葉はまさに正論です。商売の基本「安く仕入れて高く売る」という言葉にも相通じると思います。まさに儲かる経営の真髄を表します。

ただ儲けを大きくするだけで万々歳と言えないのが、中小オーナー企業の世界です。

儲かる経営だけを追い求めれば、税金という落とし穴にはまる。これも中小オーナー企業の本質です。売上を最大にして経費を最小にし、最後に残った利益を大きくするという考え方、これは大企業流の考え方と見ています。

売上から経費を差し引いた残りの利益は大きく3つに分かれます。まずひとつは税金でお金が出て行きます。2つ目が株主配当・役員賞与で出て行く(オーナー企業では配当・役員賞与は出していないのがほとんど)。そして、最後に剰余金としてお金が残ります。

内部留保という言葉を聞いたことがあると思いますが、結局、利益から税金を払って配当や役員賞与を払って、最終的に残ったものが内部留保というメカニズムです。

税理士がよく「税金をきっちり払わないと内部留保は貯まらないよ」と言いますが、まさにこの流れからくる言葉です。

会社の内部留保を大きくするのは、不特定多数の株主を相手にするような大企業の世界に当てはまると考えています。中小オーナー企業は、不特定多数の株主を相手にしていません。特定少数の同族を相手にした経営になるわけです。

同族、つまりオーナー社長一族を豊かにする。これがお金の流れでみると、いの一番に求められるところです。

ですから会社でいたずらに大きな利益を出すのではなく、会社と社長個人トータルの枠組で考え、役員報酬や役員退職金、経営者保険といった経費で政策的に会社の経費を大きくして、最終的に会社の利益はほどほどにする。つまり、ほどほど黒字経営が大切だと思います。

いたずらに大企業の常識をうのみにして、会社で内部留保を潤沢にする、大きな利益を上げるスタンスだけで会社の経営を行わないようにしてほしいと思います。

後から大きな試練が待ち構えています。

2019年11月吉日

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