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事業承継対策としての持株会社設立とは!! ~金融機関からの提案の注意点~

 

まず本題に入る前に、今(12月11日)入ってきた情報ですが、現在飲食代で取引先との打ち合わせにおいて

接待交際費の枠外として経費処理できる金額は1人当たり5,000円未満となっておりますが、

令和6年度税制改正にて1人当たり10,000円未満に増額されるとの決定がなされるようです。

交際費が多い法人様には朗報となるのではないでしょうか。

 

さて、本題の事業承継対策として、優良法人(同族会社)に金融機関から持株会社スキームが相変わらず

提案されています。そこで、持株会社化の本来の目的と金融機関の提案にどのような相違があるのか

検討してみたいと思います。

持株会社(ホールディングス)化の目的は、親会社は子会社の株式を保有し経営戦略や資本投資を担い、

一方で子会社は事業活動に専念し親会社からの指示や支援を受けることです。このようにして、グループ全体の効率性や柔軟性を高め、且つ子会社の代表取締役は内部からの登用を図るなど経営戦略に活かしていくことがホールディングス化の本質といえると思います。

しかしながら、金融機関からの提案において事業承継を主な目的とした提案書を実務の現場ではしばしば

見かけます。そのような金融機関からの提案の中でも、株式譲渡スキームによるホールディングス化の提案、

株価を引き下げるためにホールディングス化した後の親会社に不動産を移転する、または不動産を新たに

購入する提案をよく目にします。残念ながら、企業の経営戦略というホールディングス化の本質的な目的には触れずに事業承継対策や株価対策のみに焦点を当てており、結果として金融機関からの借入金に繋がっているものが大変多い印象です。

ホールディングス化を行うのに借入金を使わないで行う方法は多々ございますし、何より一番怖いのは

同族会社の行為計算否認(法人税法 第132条)等の是正を受ける可能性があることです。

つまり、ホールディングス化の活用は大前提として企業の経営戦略の一つとして採用されるものであり、

そのホールディングス化の副次的な効果によって事業承継対策にも寄与するという認識が一番肝要といえると思います。

なお、ホールディングス化を検討する際にはその専門家に相談するべきであり、メリット・デメリットを

よくご検討の上で実行されて下さい。

 

今年もご購読いただき誠に有り難う御座いました。来年も皆さまのお役に立てる情報を発信して参る

所存ですので宜しくお願いいたします。良いお年をお迎えくださいませ。

 

応援しています。

 

令和5年12月吉日

有限会社エフピーマネジメント 代表取締役 大友 一夫

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